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2025.12.16

撥水コーティングと「代替フッ素」という選択

— それは本当に、未来へ責任を持った進化なのか —

コーティング技術が高性能化する中で、親水・撥水という概念は、今や当たり前の指標となりました。中でも撥水性能は、水と基材の接触角という数値で評価されます。
この接触角を理論上もっとも高くできる素材の一つが、フッ素化合物です。

そのため、「最高レベルの撥水」を実現する手段として、
フッ素を採用するメーカーが多いのも事実です。


フッ素を取り巻く状況は、確実に変わってきている

近年、PFAS・PFOSといったフッ素化合物が、環境や健康への影響から国際的に問題視されるようになりました。それを受け、国内市場でも従来の長鎖フッ素化合物から、
いわゆる「代替フッ素」への切り替えが進んでいます。

しかし、ここで一つ立ち止まって考える必要があります。

それは本当に、未来へ責任を持った行動と言えるのでしょうか。


● 代替フッ素とフッ素は、何が違うのか

代替フッ素とは、主に炭素鎖を短くしたフッ素化合物を指します。

  • 長鎖フッ素(C8など)に比べ “生体内に蓄積しにくい”

と説明されることが一般的です。

しかし、これは「無害になった」ことを意味するわけではありません。

短鎖化されたフッ素化合物は、

  • 水に溶けやすく
  • 環境中を移動しやすく
  • 下水処理や浄化工程で除去しにくい

という特性を持ちます。

つまり、リスクが消えたのではなく、形を変えただけなのです。


● 「分解されない」という本質は変わらない

フッ素化合物の最大の特徴は、炭素―フッ素結合が極めて強固であることです。

この結合は、

  • 微生物によって分解されず
  • 紫外線でもほとんど切断されず
  • 自然環境下で消失することがありません

代替フッ素であっても、この本質は変わりません。

環境中に残り続けるという性質は、共通しています。


● フッ化水素(酸性フッ化物)と同様のリスク構造

即効性の毒性という点では、フッ化水素や酸性フッ化物とフッ素撥水剤は性質が異なります。しかし共通しているのは、

  • 一度環境に出ると回収できない
  • 影響が「遅れて」「広範囲に」現れる

という点です。

これは、静かに蓄積し、後から問題になる。というリスク構造を持っています。


● 問題は「今」ではなく、積み重なった未来にある

代替フッ素を使った撥水コーティングは、使った直後に問題が起きることはほとんどありません。だからこそ、
「今は大丈夫」
「問題は起きていない」

という認識が生まれます。

しかし、環境中に放出されたフッ素化合物は、少量ずつ、確実に積み重なっていきます。

河川、地下水、土壌を巡り、やがて私たちの生活圏へ戻ってくる。

問題は、時間差で現れます。


● 「使っても大丈夫」と「使わなくても済む」は、企業の姿勢

現在の日本では、代替フッ素を使用した撥水コーティングの多くが合法的に販売されています。

しかし、

“使っても大丈夫”  と  “使わなくても済む”

は、まったく別の判断です。技術的に可能であれば、将来に不確実性を残す成分を使わない
という選択肢も存在します。それを選ぶかどうかは、企業の姿勢そのものです。


● VOODOORIDEがフッ素を採用しない理由

VOODOORIDEが撥水設計においてフッ素化合物を採用しない理由は、
単純に「危険だから」ではありません。

  • 規制が変わった時に説明できるか
  • 環境に残る前提の設計になっていないか
  • 長期的に誇れる選択か

これらを総合的に考えた結果です。撥水性能は、フッ素に頼らずとも
設計と技術で実現できる時代になっています。


● 未来から借りていない輝き

強い撥水は、確かに分かりやすく、美しい効果を生みます。

しかしその輝きが、未来の環境や健康を前借りしたものではないか。

私たちは、
今だけの性能よりも、長く続く安心を選びたいと考えています。

それが、
VOODOORIDEが考える
「全てを輝かせる」カーケアです。


※脚注(化学的根拠・参考情報)

  • PFASは炭素–フッ素結合の強固さから
    “Forever Chemicals”と呼ばれている
    (OECD, EPA)
  • 短鎖PFASは生体蓄積性が低い一方、
    環境中での移動性が高いことが指摘されている
    (EU REACH, ECHA)
  • 下水処理・活性炭では短鎖PFASの除去が困難
    (US EPA Drinking Water Studies)
  • EUではPFASを用途横断で管理する
    包括規制の議論が進行中